湯治場余話・その3
長い間、療養専門の湯治場として宣伝のひとつもしてこなかった のですが、代替わりや雑誌などに取り上げられるようになって、 ここはひとつ、療養中心の方向はそのままに、少しでも多くの方に 千原温泉の効用を知ってもらおうと始めたのが手作りチラシ。
だいたい季節の変わり目に内容をちょっとずつ変えています。
たとえば冬場は「上がり湯」の紹介や積雪時の迂回路の説明、 夏場はあせも、アトピーに効果があることを強調したり、と。
部屋休憩の宣伝もちゃっかり載せたり。
チラシづくりは、もちろん宣伝の意味も込めているのですが、 とくに持ち帰りのお客様に、その使い方をご説明することに 重点を置いています。
日帰り温泉ですから、本来は長逗留してじっくりとなおして いくととても良いのでしょうが、申し訳ないことです。
その代わり、持ち帰ってつけたり風呂に加えたりできると いうメリットを生かしてもらえればと思っています。
このあたりには持ち帰れる温泉はあまりなく、とくに広島県の お客様からは重宝がられているというわけです。
常連様の中には「おっ、チラシが新しくなったね」と、その都度 持って帰られるファンの方もおられるとのこと。
ひなびた一軒家の温泉も、本物温泉の情報発信には、それなりに 努力しているのです。
チラシの泣き所。
5月から夏場にかけては、けっこう早くチラシがなくなってしまい、 あわてて刷り増ししなければならないことも。
しかし、冬場はめっきりお客様が減ってしまい、いつまでも在庫が。 春近くになっても、真冬の雪景色の写真付きのチラシが・・。
もったいないので、なんとか使い切りたいと(せこい)。
そんな笑い話もあったりしながら、細々と、しかしたくましくも 千原温泉は続いていきます。